セルロイド製造及び取り扱いにおける安全上の留意点 | |
1. | セルロイド取り扱い上の留意点 |
セルロイドは消防法第5類危険物に属し、製造、貯蔵、取扱は充分注意しなければならない。 第5類危険物の特徴として、その分子内に酸素を含むことから、加熱、衝撃、摩擦あるいは他の薬品との接触により発火し、燃焼速度は早く爆発的である。 従って点火源を与えることは非常に危険であることは無論であが、長時間の間に酸化反応を起こして分解が進み自然発火することがある。 自然発火は自然分解とこれに伴う酸化、その結果としての耐熱度の低下と発生する酸化熱の蓄積による温度上昇、酸素供給状況とか放熱状況等、種々の条件に起因して起こる。さらに湿度や水分の影響もある。 |
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2. | 取扱上の注意事項 |
○ | セルロイド生地は原則として1.2m以上の高さに積んではならない。 |
○ | 生地の最上部には段ボール紙等のカバーを置き直射日光を避けると共に長期間保存する場合は布カバーを掛ける。 |
○ | セルロイドはモーター、スイッチ、蒸気配管、ラジエーター等から原則として1m以上はなして置く。 |
○ | 室内外に粉屑、切片等が散乱してないようにいつも清掃し、特に作業終了時には完全に掃除する。 |
○ | セルロイド取り扱い作業場においては、機器、治工具類を手荒く取り扱ったり打撃、衝撃を与えてはならない。 |
○ | セルロイド生地は排水口の上など、湿度の高いところに置いてはならない。 |
○ | 蒸気配管は直接床を這うような施工をしてはならない、配管は保温カバーをし、ラジエーターは粉屑が積もらないようにする。 |
3. | 貯蔵上の注意 |
○ | セルロイドを与蔵する場所は出来るだけ通風の良い乾燥した冷暗所を適当とする。 |
○ | 大量貯蔵する場合には耐火構造の独立平家建の建物を適当とする。 屋根は軽量構造とし、屋根からの輻射熱を防ぐため天井を設ける。 |
○ | セルロイドを貯蔵する場合には原則として、容器に収めて保管し、裸のまま貯蔵しないようにする。 |
○ | 貯蔵庫内には、規定外の電気設備を用いない。 |
○ | 貯蔵庫内及びその付近は禁煙区域とする。 |
○ | 貯蔵庫内で荷扱いなどの作業をする場合には、扉を必ず解放しておく。 |
○ | 貯蔵品はその種類履歴に従って分類して貯蔵する。 また貯蔵台帳を備えて常にその種類履歴及びと貯蔵量を明確に把握しておく。 |
○ | セルロイドにアルカリ・酸その他薬品が付着した場合は充分洗浄乾燥したのち貯蔵しなければならない。 |
○ | 年に1〜2回日を決めて棚卸しを行い変質のあるもの又はその恐れのあるものは廃棄処理をする。 |
4. | セルロイドの取り扱い |
○ | セルロイド屑は異物を混入させぬ様注意し、若し混入したら選別するか又は直ちに焼却処理する。 |
○ | 加工時の発生屑はその都度、所定の容器に入れて屑置場に貯める。 |
○ | 丸鋸等の粉屑は直接日光を避けるために蓋をすると供に絶えず水湿状態にしておく。 |
○ | 履き寄せ屑は油ボロ、油汚紙と分別し、所定の鉄製容器に入れて蓋をしておくこと。 |
○ | 屑は少なくとも毎週一回整理して処分すべき屑は焼却する。 |
○ | セルロイド屑はその他の屑と混ぜて捨ててはいけない。 |
○ | サンプルその他長期間保管の保存期間は通常8年以下として、特別な場合は期間経過と共に焼却処分する。(5年で耐熱測定する) |
5. | 廃棄物の処理 |
○ | セルロイドの廃棄物処理法としては焼却処理を適当とする。 水を用意した安全な場所で少量ずつ焼却する。近くに多量の廃棄物を置かないようにする。 |
○ | セルロイドの廃棄物は土中に埋めてはならない。 |
6. | 消化方法 |
○ | セルロイドの消化方法としては早期に大量の水をもってするのが最適である。 |
○ | 貯蔵庫、作業場、製品倉庫には適当なスプリンクラー設備を設けるのが理想であるが、なるべく数多くの消化用水を分散配置しておく。 |
引用文献 | |
○ | ダイセル化学工業技術教育テキスト:1974年網干工場テキスト編纂委員会 |
○ | 硝化綿工業会四十年史:1998硝化綿工業会 |
○ | 実用プラスチック成型加工便覧:1970年全日本プラスチック成型工業連合会 |
○ | セルロイド工業:1998年太平化学製品(株)60周年記念誌編集 |
○ | セルロイドの話:1995年セルロイド生地協会 |
○ | CELLULOID OF JAPAN 1958:CELLULOID AND NITRO-CELLULOSE MANUFACTURERS' ASSOCIATION OF JAPAN |
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