速報
「日本のセルロイド工業の発祥を示す建物及び資料」が「化学遺産」に認定


  去る2011年3月7日、日本化学会から「化学遺産」認定の発表がありました。

昨年の第一回目として認定されましたのは「宇田川榕菴化学関係資料」「アドレナリン実験ノート」「具留多味酸資料」「ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔」「ビスコース法レーヨン工業」「カザレー式アンモニア合成装置」の六点でした。

それで今年認定されましたのが「朋百舎密書(ぽんぺせいみしょ)」「化学新書」「日本の板ガラス工業の発祥を示す資料」そして「日本のセルロイド工業の発祥を示す建物及び資料」の四点です。



では順番に見ていくことといたしましょう。最初の「朋百舎密書」は幕末に日本を訪れたオランダ人医師ポンペが、1859年に行った医学や化学の講義を弟子が記録したもので松江赤十字病院に二冊が遺されています。

日本学士院が所蔵している「化学新書」は、それまで「舎密」と呼ばれていたケミカルに対して初めて「化学」という言葉を書名として使用した本です。

「日本の板ガラス工業の発祥を示す資料」として認定されましたのは、1909年に「手吹き円筒法」と呼ばれる方法で生産に成功した旭硝子関西工場(兵庫県尼崎市)の円筒などです。



 そして姫路市網干の「日本セルロイド人造絹糸」の石炭ボイラー施設などが「化学遺産」認定を受けました。

 日本セルロイド人造絹糸は1908年に設立されたセルロイド製造施設で、後に堺セルロイド等と合併して大日本セルロイド(ダイセル化学工業)となったことはよく知られています。



 今回、この認定を記念して3月26日10:30〜16:45に神奈川大学横浜キャンパスにおいて市民公開講座が開催されます。

 開会挨拶はカンファレンスにもご出席いただいております化学遺産委員会委員長植村栄先生です。

 当日の講師として化学遺産委員会顧問山本明夫先生、青山学院女子短大教授八耳俊文先生、日本化学会フェロー田島慶三先生、そしてダイセル化学工業研究統括部調査情報グループリーダー吉兼正能先生が予定されています。興味を持たれました方は是非ともご出席をお願いいたします。




松尾 和彦


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