セルロイドサロン |
第110回 |
松尾 和彦 |
セルロイドカンファレンス2010 |
去る平成二十二年(2010年)十一月十一日(木)大阪科学技術センターにおいてセルロイドカンファレンス2010が開催されました。 甲斐会長の開会挨拶に続いて小野理事によって物故者の紹介が行われました。第一回セルロイドカンファレンスが開催されましたのが平成十二年(2000年)十月九日。場所は東京六本木の国際文化会館でした。 以来、十年。この間に「おまけの神様」と言われ物故者に対する黙祷の音頭をとっていただきました宮本順三様。名誉顧問を務めていただき創業のセルロイドに対して際立って強い思い入れを持っておられた元ダイセル化学工業社長の久保田美文様。Celluloidの著者にして第一回にも参加いただきましたキース・ラウエル様。名誉顧問で同じく第一回に参加いただきました旭化成工業元社長の弓倉礼一様。セルロイド万年筆を製造され、名刺をセルロイド製にされるほど強い思い入れを持っておられました岡崎忍様。太陽刷子会長で関西地区における重鎮でした小倉吉三様。関西セルロイド・プラスチック協会第四代理事長の藤井政雄様。宝塚化成社長で石鹸箱、コンパクト、パウダージャー、筆箱などを製造されておられた北健一様。ダイセル化学工業におきましてセルロイド製造の神様とまで呼ばれ、第二回の折に講演をいただきました西部誠二様。 十年という月日の間に、これらの得難い方々がこの世を去っていかれました。約四十五名の出席者は想い出を新たにして黙祷を捧げました。 続きまして甲斐会長によります「研究会十年」の講演が行われました。三十分の予定時間が一時間以上にもなったために、大井理事の講演後に予定されていましたコーヒーブレイクの休憩時間が無くなり、そのままコーヒーをいただくこととなるというハプニングがありましたが、そのようなことが起きるほど熱いものを持った講演でした。 次に登壇されました岩井館長の「セルロイドハウスへの想い」は、これまで蒐集してきました数多くのセルロイド製品及び資料の紹介を多彩なスライドを使用して紹介されました。 大井理事の「研究会の十年」は甲斐会長と名前は似ていますが、内容は違っていまして過去十年の講演内容等についての紹介でした。 休憩をなくしてまで行われました三木理事の話は、フィルムセンターにおいて発見されました戦前期(昭和十二年)の「堺工場の紹介」で誰よりもよく現場を知っている三木理事ならではの講演となりました。 メインとして登壇されました柴田様の「セルロース」に関する講演は、セルロイドの重要原料の一つでありますもので時折ユーモアを交えた話しぶりで人々を惹きつける魅力的な内容となりました。 塚田理事による閉会挨拶後、場所を変えて行われました懇親会は横浜館のビデオをバックグラウンドとして流し和気藹藹とした雰囲気の中で進み数多くの出席者の方からスピーチをいただきました。 この折に「ハイアットホテルはセルロイド生みの親であるハイアットと関係があるのか」との質問があり「関係無いでしょう」と答えたのですが、その後の調査で詳しいことが分かりました。ハイアットホテルアンドリゾーツは、シカゴの大資産家であるブリッカー家が1957年にロサンゼルスで一軒のホテルを買収したのが始まりで、現在ではパークハイアット、アンダーズ、グランドハイアットなどがあります。やはり関係なかったのです。 このようにして終わりましたセルロイドカンファレンス2010は、過去十年の集大成となるとともに今後の十年の出発点となることを確信させるものでした。 |
著者の松尾 和彦氏は歴史作家で近世、現代史を専門とし岡山市に在住する。 |
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