セルロイドサロン 149

セルロイドサロン

第149回

甲斐学氏訃報

　去る2013年(平成二十五年)7月7日、当セルロイド文化研究会の会長を長きに渡って務めてこられました甲斐学氏が彼方の地に旅立たれました。同氏のどこか憎めない風貌、人懐こい笑顔にはもう会うことが出来ません。七十七歳という年は、まだこれからも活動が期待できただけに返す返すも残念でなりません。

　甲斐氏は大阪大学を卒業の後、大日本セルロイド(現ダイセル)に勤務され遂には副社長にまで上られた方です。
　当会の発足とともに会長職を務められ、個性的な性格ゆえに時には衝突することもありましたが強い指導力で会を引っ張ってこられました。
　晩年、体調を崩されてからも兵庫県立大学、大阪大学などで教鞭を取られました。若い学生との付き合いがあったからでしょうか感性は衰えることを知りませんでした。

　会長職を退かれてからもカンファレンス等には御出席をいただき御意見番的役割を務められました。まさにセルロイド版彦左衛門といった重鎮でした。

　この巨星を失った衝撃はあまりにも大きなものがありますが、遺されたものはもっと大きなものがあります。それを守り育てるのが我々の務めと自負しております。
　甲斐さん、このようなありきたりの言葉では言い尽くせないのですが、やはりこのように言わせていただきます。長い間、本当にありがとうございました。ゆっくりとお休みくださいとは申しません。大事な仕事があるからです。これからも我々を見守ってください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　セルロイドハウス横濱館館長　　　　　岩井　薫生

2013年(平成二十五年)7月16日