セルロイドサロン
第42回
栗原 英次
セルロイドと金平糖容器

 明治末期から金平糖を入れる容器は、中身の金平糖を食べた後おもちやとして遊べる容器、すなわち、菓子入れ玩具として発売され、徐々に人気を博し、大正の初めから昭和十年代まで、様々の型の物が現れ、菓子入れ玩具のブームとなつた。

 容器の材料としては、ガラス、セルロイド、ブリキ、紙、木材等があつた。 ガラスの容器の出現は明治四十年代位である事は文献により確かだ。

 セルロイドの容器の発売は、まだはっきりしないが、私のコレクションでは写真、傘の型の金平糖入れが、意匠登録から大正八年と言う事が、はっきりしている。 私の考えでは、セルロイドの容器は、ガラスの容器より、やや遅れて発売されたのではないかと思われる。

 セルロイドは単体としても使われたが、金属とセルロイド、ガラスとセルロイドの組み合わせがある。

傘 信玄袋と印籠 茶釜
写真
単体(傘、信玄袋、印籠、ぶんぶく茶釜)
乳母車 金太郎と狸
セルロイドと金属(乳母車) セルロイドとガラス
(たぬき、金太郎、ボトル2個)
たぬきは大正十二年の意匠登録、後は大正から昭和初期の物であろう。

大正十年代から、壜との複合体で、緻密なものが作られる様になった。昭和二年頃には、日本はセルロイド生産、世界一になった。その時に、セルロイドの菓子入れ玩具も、最盛期を迎えた。その後、第二次世界大戦が始まると、おもちゃ向けのセルロイドは、供給されなくなり、戦後は、プラスチックに追われ、衰退していった。しかし私は、セルロイドの持つ、薄い、堀の深い、繊細な美しさに引かれ、いつまでも大切にして行きたい。尚、興味をお持ちのかたは、拙者 「いろはにコンペイトウ」を読んで頂ければ幸いです。
栗原氏とセルロイド人形


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