セルロイドサロン |
第45回 |
松尾 和彦 |
みんなのセルロイド展V見学記 |
さる二○○六年四月十四日より十六日にかけてセルロイドハウス横浜館において、みんなのセルロイド展Vが「セルや」こと平井英一さんの主催の下に開催されました。 今回は、その見学記を書くことといたします。 セルロイド展と言いましても、取り上げられていますのは殆どが平井さんのところで作られていますセルロイド人形ミーコで、様々な姿に変身しています。 二十数名の出展者の方々は、どなたも発想力が豊かで個性的な作品を展示されていましたが、中でもユニークだった方は「ターシャ」さんでしょう。なんとミーコが寅さん、つまり「男はつらいよ」の主人公車寅次郎に変身しているのです。 その寅さんを演じられた渥美清こと田所康男さんが、若い頃にセルロイド工場であまり役に立たないロール工として働いていたことは、前にも述べました通りです。今またこのような形でセルロイドと関わりあうことになろうとは、さすがの寅さんも夢にも思わなかったことでしょう。 ユニークさと言えば「トム・ソーヤー工房」さんのメークは、一度見たら忘れられないおやじ顔です。昔の遊園地では定番だったコーヒーカップにおやじミーコが乗っている様子を見ると、誰もがふきだしてしまいます。 ユニークさで、もう一人忘れてはいけない人が「パンダおやじ」さんで、名前の通り何時でもパンダの格好をされている御本人もユニークですが、ミーコの顔がお守りとなっているという発想の素晴らしさには驚きました。 格好の良さで軍配を上げたくなるのが「みーたん」さんで、宝塚のエトワールと制服の緑の袴を着た姿には宝塚ファンでなくても見入ってしまうところです。なんと戦前の宝塚の写真までも展示しているという念の入れようです。 七変化だったのが「ひろこ」さんで着物姿あり、ラムちゃん風あり、ウサギの耳をつけた姿あり、今流行のメードさん風まであって目を楽しませてくれます。 変化の多さということでは「しじみ」さんも負けていません。出展されていたドレスの数では一番だったのではないでしょうか。毎日、着せ替えを楽しむことが出来るだけの数が揃っていました。 驚かされるのが「みつ豆」さんで、駄菓子屋さんのミニチュアを作られているのですが、僅か二、三ミリという小ささと芸の細かさには「凄い」としか形容する言葉が見あたりません。 テディベア風に変身させていたのがMIYAKOさんです。ただでさえ可愛らしいミーコが、より一層可愛くなっていました。 「かりんぽ」さんはカエルが好きだということで「池の午後」という題名で、カエルとミーコとを組み合わせて御伽噺の世界のような雰囲気に仕上げていました。 「チェリー」さんはゆかたバージョン、ドレスバージョンで勝負していましたが、小さな眼鏡を赤い針金で作っていました。眼鏡をかけたミーコも知的な感じがして、また趣が違って興味深かったです。 最近、平井さんがミーコと同じくらい力を注がれています某製薬会社のキャラクターに良く似ているウサギの人形に着色されていたのが「YUKO」さんで、手先の器用さと色彩感覚とを活かして可愛らしく仕上げていました。 貴重なコレクションを提供してくださったのが、金平糖容器のコレクションでも知られています「栗原英次」さんで、セルロイド人形とキューピーのセット、筆箱を出展されていました。 ここに取り上げなかった方々も非常に豊かな発想力を活かされて個性溢れる作品に仕上げられていました。なお、ほとんどの方がご自身のホームページを開設されていますので、そちらを覗かれてみるのも面白いと思います。 もっと詳しいことを知られたい方は、「ブル(パンダおやじ)」さんがレポートを書かれています。写真も数多く、私の文章よりそちらのほうが一見の価値があります。平井さんのホームページからもアクセス出来ますので、一度覗かれてみて下さい。 |
著者の松尾 和彦氏は歴史作家で近世、現代史を専門とし岡山市に在住する。 |
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