去る2017年(平成29年)10月27日、大阪セルロイド会館に於いて第9回さわやか交流会が開催されました。当日は、まさに抜けるような青空で快晴とはこのような天気をいうのであろうという好天に恵まれました。
先ず例年通り物故者に対する黙祷が行われました。セルロイドが誕生してから約150年。発明者のジョン・ウィスレイ・ハイアット、ダニエル・スピル、アレクサンダー・パークス。日本では最初に輸入されたセルロイド塊に目を付けた西川伊兵衛、生地生成の先達小蝶六三郎といった先人があってこそのセルロイド産業です。また他にも数々の有名無名の先人がいました。その人達に敬意を示す意味を込めての黙祷でした。
続いて講演に移り、先ずはセルロイドハウス横浜館岩井館長による「2020年を目標とするセルロイド産業文化調査研究活動」の講演が行われました。
セルロイド産業文化調査会の実質的な活動は、2000年に東京の国際文化会館で行われましたセルロイドカンファレンスから始まりました。この時にセルロイドに関係していた多数の方々にご出席いただいて以来、歴史を重ねてまいりました。またセルロイドには前述の通り約150年の歴史があります。現在のプラスチック文明の先駆けとしてセルロイドが果たした役割は大きなものがあります。だからこそ今でも調査会の活動が続いているわけです。
数多くの製品が生まれました。一説では25,000種以上があったといいます。横浜館にも多数収蔵されています。それらの製品を紹介していきました。
セルロイドが生まれたきっかけは開拓時代のアメリカで大流行していたビリヤードボールとして使われていた象牙の代用品としてでした。だからこそアメリカで発明され、一大産業となったわけです。
アメリカが先頭を切っていたのに対して、日本は後発でした。ところが主要原料の一つである樟脳の産地台湾が日本領となったことに加えて、工夫をして改良を加えるという日本人の勤勉性により、世界一となりました。
残念ながら今では表舞台からは消えましたが、決して過去のものとはなっていません。セルロイド産業文化研究会の活動も2020年に向かって続いていくということを熱く語る講演となりました。
続いて大井理事が過去9回の「さわやか交流会」を振り返る講演を行いました。取り上げたテーマとしては歯ブラシあり、玩具あり、眼鏡あり、でそれら製品の組合、物の流れの仕組みなど様々のものを語ってきました。それら一つ一つが交流会の宝と言えるもので論文が幾つも書ける可能性を秘めています。
大井理事は過去の発表資料に対して熱い口調で理路整然と語りました。
講演に引き続き懇親会が行われました。今年もセルロイドを製造していた人、加工していた人、流通させていた人など様々な立場の人が集いました。あるところでは同窓会、あるところでは異業種交流といった場面となり、各人が互いの交友を深めて来年の再会を約束して散会となりました。
今後も調査研究活動を継続するとともに交流会を開催していきますので、セルロイド産業文化研究会並びにセルロイドハウス横浜館に対して一層のご愛顧、ご支援のほどよろしくお願いします。
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