縁起物


 皆様は縁起担ぎをされるでしょうか。また厄払いをされるでしょうか。縁起も厄も目には見えません。ところが縁起物や厄払いには赤色が使われています。真田家や井伊家の赤備えは有名です。疱瘡、コレラなどが流行した折には赤色で病魔退散を願いました。六世紀頃の中国では冬至の日に赤い豆を食べるという風習がありました。古来より人々は赤という色に何か特別な力が備わっていると考えていたのかもしれません。
 その赤い縁起物に関する展示が過去に「葛飾へ行こう」で紹介しました葛飾区郷土と天文の博物館で2月3日まで開催されています。
 赤色の服を着る、赤色の絵を飾る、赤色の札を貼るなど様々な行いにより厄を払い、良い縁起を得るという人々の願いは、赤達磨、正月に売る吊るし物などによって今でも伝えられています。
 今回の展示ではそのような縁起物を中心にしています。先ほど挙げたものだけでなく正月飾りや門松なども縁起物です。その中にはセルロイド製のものもあります。浅草などの酉の市で売られます熊手、大阪の福笹に付けられている吊るし物、枝成金と呼ばれる鯛、米俵、小判などの縁起物といえばセルロイド製でした。セルロイドですから多くは葛飾で作られたものでしょう。
 なるべく大きくて沢山ついているものが見栄えがするということで派手になって遂には百万円を超えるものもあります。そしてそういったものには政治家や芸能人といった有名人の名前が書かれた「売約済み」の札が貼ってあります。
 ところがそのような縁起物には賞味期限があります。正月飾りを一月十五日のどんど焼き(とんど焼き、左義長)で焼くことはよく知られています。また他の縁起物も大体が一年たつと御用済みということで燃やされてしまいます。神様の力も一年だけとか縁起払いは毎年行うものであるといった理由がついてはいますが、毎年買ってくれないと商売にならないというのが本音でしょう。
 今回の展示では赤色のもの、達磨、セルロイド製のもの、七福神などを紹介しています。大人100円、小中学生50円という料金で特設展だけでなく常設展も見ることが出来るのはお値打ちです。会期も迫ってきていますので是非一度葛飾へ足を運んでいただきたいものです。


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